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ガット弦3題 シェークスピアと猫とジェミニアーニnewblue.gif

2011/07/28

ガット弦に関連した話題です

1.シェークスピア
Shakespears.jpg ガット弦について調べ物をしていて、シェークスピアの台詞に出会いました
シェークスピアの時代(日本では関ヶ原の合戦前後?)にはガット弦は羊の腸から作られるというのが自明だったのでしょうね。そのころから第二次大戦後まで、楽器用弦といえば羊腸だったのでしょう。(どれだけの羊さんたちが人間の精神高揚のために貢献してきたことか。。。)

シェークスピアの喜劇「空騒ぎ」(Much ado about nothing.)第二幕第三場
「羊の腸が人の身体の魂を沸き立たせるというのも妙なことじゃないか?」
"Is it not strange that sheeps' guts should hale souls out of men's bodies? "


2.キャットガット
ガット弦のことを英語でCatgutといいならわしていました。そのために猫の腸で作られるという誤解を(本気か冗談かわかりませんが)されたこともあるようです。この語源はどうも Cattle Gut (家畜の腸)から来ているように思います(Cattle=家畜)。他に、ヴァイオリン属の楽器がKitとよばれたこともあり、その楽器に張るガット弦だからKit Gut、でそれがなまったとか
さまざまな諸説がありますが、定説はありません

Galen.jpg 西暦2世紀に生きた高名なギリシャの学者ガレン(Claudius Galenus ペルガモンのガレン)が彼の著述の中でCat Gut に触れているらしいのですが、なにしろ大部な医学書が、それもラテン語であるようなので詳細を確認できていません。彼の著述は16世紀にいたるまで西洋医学の源流となりました。もともと剣闘士学校の医師を務めた頃に多くを学んだと言いますから、おそらく手術用の縫合糸としての用途でしょう。TOROさんの話を聞いても、昔は縫合糸としての需要が膨大にあったそうで、その為のガット弦を制作する工場はたくさんあったようです。今では手術用の需要が激減してしまったのでほとんどの工場が廃業。サッレでは楽器用弦も作っていたTOROだけが残ったとのこと。(その頃の経験が活きているのでしょう。品質管理はとてもしっかりしています)

3.ジェミニアーニ
CD2061.gif NAXOSのCDのライナーノーツでトロ弦に触れてあるそうです
いつもお世話になっているチェリスト/楽器調整技術者の影山さんが教えてくれました

エンリコ・ブロンツィ - Enrico Bronzi (チェロ)
Michele Barchi (チェンバロ)
チェロ本体:ヴィンチェンッツォ・トルジアーノ・パノルモ制作によるオリジナル楽器、ロンドン、1775年頃
腸弦:トーロ工房 イタリア・アブルッツォ地方

ジェミニアーニ:チェロ・ソナタ集 Op. 5 (ブロンツィ/バルキ)
GEMINIANI, F.: Cello Sonatas, Op. 5 (Bronzi, Barchi)

もともとTOROは、ヨーロッパの各地で他のブランド名で売られていましたが、日本ではあえて本来の名前でお届けしました。ヨーロッパでもTOROブランドが認知されてくれるとうれしいですね

newblue.gif

楽器は在庫があれば全て試奏可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

コメント(2)

たいへん面白い話ありがとうございます。
より合わせたガット弦がCatlineと呼びなわされるのも、やはり同様の由来なのかしらと興味を覚えました。

>Inouyeさま
はい、VeniceKatlin/Catlineも同じ語源の可能性がありますね。Veniceというのも、当時イタリア最大の貿易都市で、イタリアから輸出されるものはなんでもヴェニスからという感覚かもしれません。

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