メロス社シキオティス社長への質問と回答

メロス社の松脂を扱い始めて、大変ご好評をいただきありがとうございます
皆様からのご感想をうかがうなかで、ご質問いただくこともあり、疑問も増えてきたのでメロス社のシキオティス社長に質問を送っていましたところ、このたびご回答をいただきました
東洋の島国からの些末な質問に対して、とても誠実に回答してもらえて、シキオティス社長の姿勢にとても好感が持てました（３月にフランクフルトで面談したときの印象も同じでした）
若干枝葉は整理して、下記皆様へのご報告といたします

＜＜質問１＞＞新商品の「バロック」仕様のものは、従来からあるものとなにが違うのか？
特に固さについて　ライト＜ダーク＜バロック　の順で違うということかと思っていましたが、お客様のご感想の中で、固さだけではないのではないかとのご質問があったので聞いてみました

（回答１）固さについてはおっしゃるとうりです。松脂は柔らかいほどくっつきやすく、弦をつかむ感じになります。それでも、同じ楽器向けの範囲（たとえばチェロ用）で言うと３つのタイプの間での物理的な差はごくわずかです。（楽器の違いでは更に差は大きくなる）

＜＜質問２＞＞ダークやライトなどの違いはどうやって作るのか?
季節の違いか（寒い季節はよりダークな松脂がとれる、とか）、地方や国による違いか、混ぜ物の違いかなど

（回答２）違う国の松からとれる松脂はすべて異なります。ギリシャの、私たちの地域の松はPINUS HALEPENSIS（訳注：俗に「アレッポ松」）と呼ばれて地中海地方に一般的）で、最も暑い５ヶ月間（５月～１０月）に松脂を採取します。生の松脂は常に明るい黄色をしています






一方、ヨーロッパ北部では例えばPINUS SILVESTRIS（訳注：俗名「オウシュウアカマツ」）などが多く、こちらの生の松脂は暗い色をしています。弊社ではこれらの生の松脂を混ぜ合わせ、他の自然素材と調合します（何かということは企業秘です）
重要なポイントは、気候環境からして、弊社の松脂は世界でも最高級の素材を使うことができるというところです








＜＜質問３＞＞あるお客様は、７年前にメロスのコントラバス用松脂を買われたが、今のものと質が違うような気がするとのこと。作り方を変えているのか？

（回答３）コントラバス用の松脂については、お客様の感触は正しいと言えます。多くのコントラバス演奏者の皆さんとの会話を通じて、コントラバス用松脂について改良を重ねて来ており、今は満足のいくものが作れるようになったと思っています。そのお客様から、詳細のご意見をうかがえればありがたいです。この仕様変更はコントラバス用についてだけで、それ以外の楽器用については当初から非常に良い反応をいただきました

＜＜質問４＞＞他のメーカーで手作りとうたっているところは、季節変動のある自然素材を使っているので品質が安定しないという風評があるが、メロスはどうなのか？

（回答４）他社がどういった自然素材を使っているかはわからないのですが、想像するに、ある程度まとめた生産をせざるを得ないために均一でなくなっているのではないでしょうか。その場合は季節変動というのは問題になりません。重要なのは自然な素材につきものの表面の酸化です。弊社メロスでは、注文をいただいてから生産します。私は、少量で何回も御注文いただくほうが、年に一回や二回のまとめたオーダーをいただくより良いと思っています
メロスの松脂が安定した品質を保っているのは下記の理由です
a. 常に新鮮であること
b. 弊社では常に同じ、良質の自然素材を使うこと
c. 生産にあたって安定した環境条件を保つこと
d. 製品そのものの品質を管理していること

＜＜質問５＞＞メロスは新鮮だから良い、とのことだが、それなら「有効期限、賞味期限」といったものはあるのか？いつ作られたものかを見分ける方法はあるのか？

（回答５）メロスは「新鮮だから」ということだけで良質なわけではないのですが（苦笑）。新鮮さについて言うならば「賞味期限」を明記するのは良い方法だと思います。それについては、音楽家や楽器制作者の皆さんとも会話をしており、折りを見てバーコードをつけて実現したいと思っています。私は使われていない松脂の賞味期限は、１年半から２年ぐらいと思っています。日本への販売については、ほぼ３ヶ月から５ヶ月単位で御注文をいただいており、十分に新鮮なものがお届けできていると思っています

以上