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ヴァルチャー羽使用レポート

2006/02/10

羽をご購入いただいた八百板様がレポートを下さいました
ヴァルチャー羽に関心をもたれている方の参考になると思ってご相談したところ快諾いただきましたので、コメントを下記アップロードいたします
八百板様ありがとうございます

---八百板 正己様レポート---
私の久保田彰製2段チェンバロを鳥の羽にすべて交換する「鳥の羽プロジェクト」の経過をご報告いたします。

現在186本の羽のうち40本程度を交換しました。
以前「使える羽とあまり使えない羽に分かれる」と書きましたが、その「使える羽」のうちの小さめのものから使い始めて、2本半を消費しました。
「レジスター当たり5~6本」よりだいぶ率が良いですが、今回はすべての爪を交換するので、
・まず爪を整形して(厚さは全く落とさず)
・そのまま使える一番低い音に使う
という効率の良い作業だからでしょう。

そして、通常は使わないと考えられる羽の根元近く(軸の表面が平面でなく丸まっています)を上手に使うと、丸まっていることも作用してかなり剛性のある爪が作れることに気づきまして、最低音にちゃんと使えました。 これを真面目に平面の部分から作るには、私が知人から譲ってもらったようなもっともっと大きな高価な羽が必要になるところで、どうしようかと悩んでいたところに見通しが立ちました。

また、羽の「使える部分の範囲」は見かけの幅では判断できないことも分かりました。
見掛けは細くても削ってみると肉厚だったり、その同じ幅のままある所から急に柔らかくなったり、また先から元に向かって直線的に剛性が高くなるわけでもなく、部分的に波があるようでもあります。

この調子で行きますと全部交換してもだいぶ余りが出て、今後のストックのほかに知人に売る余裕もありそうです。

肝心の音ですが、プラスチックよりも硬くて薄いので、高周波成分を多く含むいわゆる「銀の鈴」といった感じです。ただし薄すぎるものはペナペナした安っぽい音になるので、音色を聴きながら場所を選び、時には羽軸の内側のフワフワの部分を少し残して高周波成分を減らすといった工夫も使っています。
逆に材料が少し柔らかめのときは、剛性を保ったまま高周波成分を増やすために、爪の先3分の1くらいまでだけ薄めに削るといった工夫も有効です。
これらは実際に弦をはじかなくても、ジャックに爪を挿して指ではじいてみた音色だけでもかなり予想が付き、作業時間の短縮に役立っています。

以上、経過報告でした。

楽器は在庫があれば全て試奏可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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