楽譜は踊る(ヴィオール/ヴィオラ・ダ・ガンバ用の譜面)
ヴィオールの楽譜を見ていると、なんだか楽しくなってきます。
ぼくは昔読んだシャーロック・ホームズの踊る人形という暗号を思い出してしまうけど、みなさんはどうでしょう?
もともとこの時代の音楽は踊りの伴奏に使われることが多かったと聞きますし、曲のタイトルも踊りの様式に由来したものが多いようですね。でも、内容は小中学校の音楽の授業には決して出てこないような符号がたくさんあって、やはり暗号です。まずは一つ一つの記号の意味を,調べないとなにがなにやら。。。 わからないのですよワトスン君!
見るだけでも楽しいかと思うので譜面の写真をアップしますね。
マラン・マレの曲集。一冊はヴィオール用。二冊目は伴奏のバッソ・コンティヌオ(通奏低音)用。普通はチェンバロかテオルボなどで弾くのかな?
表紙を開くとカバーの絵には天使たちが。。
下の写真をクリックして、拡大してご覧になってください。なにやら見慣れない記号が入っているでしょう?「モルデント(音符の頭のところで瞬間的に下の音を出す装飾)」とか、ヴィブラートでも二本の指を使うもの、一本の指でフレットの上を押さえてかけるもの、etc. やはり暗号解読をまず最初にやらないと事件の解決ができません。ト音記号とヘ音記号まではまだいいのですが、ハ音記号があって、しかもときどきへ音記号と入れ替わる。音を頭の中に入れてしまわないと、譜面を見て直感的に、なんてとても弾けません。(ぼくは、ですけど(^^;;)
さらに、二冊目は伴奏の通奏低音用。こっちはなにやら怪しげな数字がところどころに。。。 これは和音の音の構成を表しているようです。これも勉強しておかないと。。。 先は長い。Ars longa, Vita brevis...
コメントする
コメントしてください
サイン・インを確認しました。 さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)
(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)
初めまして。kipと申します。古楽譜を見せて下さい、と某所(サイト)でつぶやいた張本人です。(笑
私も趣味でチェロを弾いていますが、普通の楽譜とはだいぶ違いますね。通奏低音用の楽譜で見られるのはギターのコードのようですね(といっても詳しくは判らないのですが)。姿形は似ておれど、楽譜からして違う、というのは中々興味深いです。
投稿者: kip | 2006年06月10日 01:29
kipさん、ようこそ。
そうですね、弦も(当然)ガット弦だし、弓もバロック弓。弓の持ち方もチェロはオーバーハンド(上から)ですが、ヴィオールはアンダーハンド!小節の最初の拍は基本的に押し弓(上げ弓?)から入ります。多分チェロと逆でしょう?
通奏低音譜の数字は、基本的に和音の展開のしかたを示すようですね。たとえば、Cのコード(CEG)を展開して下からEGCとする場合は、おたまじゃくしはEで、数字の36(または6だけ)を添えるなどなど。(ぼくもこれから勉強なので、間違ってたらごめんなさい)
今日はワールドカップで盛り上がっているのかな?Y嬢を酒で負かすのはなかなか大変だと思います。自滅されませんように(笑)
投稿者: Nom | 2006年06月10日 02:25
なるほど、弓がアンダーハンドなんですね。コントラバスが、アンダーハンド/オーバーハンド両方の持ち方が今でも共存していることを考えると、チェロがオーバーハンドオンリーなのは少し不思議な気がしますね。多分アンダーだとフォルテを出しにくかったりするのでしょうが。小節の最初の拍がアップボー(上げ弓)というのも面白いですね。チェロはダウンが普通です。
ワールドカップ、盛り上がっています。Yさん、ホントお酒強いですね。僕も決して弱くはないのですが、正面きって勝負するほど度胸はないです(笑
投稿者: kip | 2006年06月11日 00:04
たまたま弓を二本比べることができまして、バロック弓の中でも少し古いタイプ(かな?)、スネークウッド材でティップがパイクヘッド(魚のカマスのように、すぅっと尖ったタイプ)と、バロック弓なんだけれどもペルナンブコ材で少しアックスヘッド(斧の頭のように四角く立った形)のものとを弾き比べてみています。
よくできたもので、フランス物の柔らかい立ち上がり、ソフトな音には前者。少しメリハリのついた曲は後者のほうが弾きやすい!
なにしろ、まだ先生のレッスンは2回だけという超初心者ですから当てにならないコメントですが、弾き心地が違うのは確かです。前者は中国のメーカーなのでとても安いので、商売として仕入れるつもりです。長さ、重さ、材料など少しずつ変えていくつかのモデルで仕入れてみようかな。。。
以前Y社に勤めていたころに、チェロ弓の商品企画でゲリンガスさん(ご存知かな?)におつきあいいただきました。あのころいろいろ言われていたことが、自分でよく似た楽器を触ってみると実感としてわかりますね。
次のステップ、ガット弦をいくつか仕様を変えて試して(仕入れて)みようかと思っています。単線だけでなくヴェニス編みとか、銀線巻きとか、きっと音がずいぶん変わるでしょうね。楽しみ楽しみ。
投稿者: Nom | 2006年06月11日 00:50
ゲリンガスさん。うーん。ちょっと存知上げないです。でも、弓はかなり音に影響しますよね。僕も長らく5-6万の安物の弓を使い続けていましたが、一念発起、一昨年ロンドンでウン十万の弓を買ってしまいました。今は休業中であまり弾けないのが残念なのですが、、、。
投稿者: kip | 2006年06月15日 00:56
初めまして。FC2のブログで、いろいろ楽器欲しい!と書いてたものです。是非、ヴィオールを仕入れられた暁には、見に(弾きに、聴きに)行かせて頂きたいです!
ヴィオールは、チェロよりもコントラバスに近い楽器ときいてますので、ヴィオールの弓の持ち方が、コントラバスに引き継がれたんだと思います(無根拠ですが・・・)。拍頭がアップというのは新鮮ですね。
通奏低音って、チェンバロ奏者はあれだけの楽譜で、和音やオブリガードをつけていくんですよね。感心します。
それにしても美しい楽譜ですね。見ているだけで楽しい(笑)。
ところで、ゲリンガスさんって、ダヴィット・ゲリンガス氏ですか?すごい・・・。
投稿者: labocho | 2006年07月13日 23:34
>labochoさん
はじめまして、コメントありがとうございます。数日前からミラノに来ていますが、やっとネットにつながりました(汗)
今日もミラノ市内で評判の良いヴィオール製作者の工房に行ってきました。でも、彼の楽器の場合は仕入れるとそうですね、200万円は超えてしまいそうなので、通常の商売としては無理、とあきらめました。でも、ほとんど素人の私が弾いても気持ちいい。。。 良い楽器というのは値段相応の価値があるもの、と再認識しました。
通奏低音は、素人ですがテキストを買って勉強しようと読み始めてみたら、とてもジャズのコードネームに近いですね。もう少し具体的かもしれない。昔少しジャズをやっていたので、置き換えて考えるとわかりやすい気がします。
ゲリンガスさんは、はい、ダビッド(デビッド)さんです。音楽にはとても厳しい人ですが、ユーモアのセンスもあり、良い方ですよ。奥様のタチアナさんも素敵な方だし。彼が旧ロシアから西側に亡命して、「音楽的には古楽器に触れたのがとても収穫だった。バッハの演奏解釈もそれでだいぶ変わった」とおっしゃってました。
投稿者: Nom | 2006年07月15日 07:42