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ハイテク・ヴィオラ・ダ・ガンバ:遊星歯車機構

2010/08/09

ハイテクのヴィオラ・ダ・ガンバ(?!)を試作しました。調弦がとても楽になります

PlanetaryGambaヘッド_s.jpg PlanetaryGamba斜_s.jpg
ガット弦やガンバをお買い上げいただいたお客様が、コンサートのときなどにペグ(糸巻)と悪戦苦闘しているご様子を拝見することもあり、なんとか楽にならないものかと思っていました。10年ほど前に前職でおつきあいのあったアメリカの弦楽器商の方が、クラシックなヴァイオリン族のためのマシンペグ(ギヤを内蔵したペグ)を開発中だと聞き、それをガンバ族にも応用できないかと話をしていました。その後アメリカのその楽器商では景気の影響もあって担当者がかわってしまい、残念なことにコンタクトが中断していました
一方で旧知のドイツのウィットナー社が類似のペグを作っており、ウィットナー社長と私の取引先IESTA社とのご厚意で、7弦ガンバにこのウィットナーペグを仕込んだものを試作することができました(ウィットナーのペグは残念ながら取引契約の関係で弊社では扱えません)
アメリカのメーカーの方もやっとコンタクトがとれましたので、少しずつ試作と取扱を始めようと思っています

Pegheds.jpg

この2社のペグは、外見は従来のペグとほとんど同じで中にギヤが仕込んであるものです
大きな違いは、ギヤが組み込まれている場所で、ウィットナーのものはつまみの部分に、アメリカのものはシャフトの部分に組み込まれていますが、機能的にはほとんど同じです

実際に操作してみるとうそのように楽に回ります。もちろん楽器制作/調整される方は、こんなものを使わなくても十分まわしやすいペグをセットする、ということだとは思いますが、実際に使ってみるとギヤ比(4対1)があることもあって、チューニングの微調整もとても楽です
今回試作したガンバは7弦、弦長65cm、胴圧14cmです。とても扱い易く弾きやすいのではないかと思います。どうぞ試奏にお越しください

*遊星歯車機構(Planetary Gear)とは
図にあるように、中心軸になる緑色の「太陽」ギヤと、その周りをまわる黄色の「遊星」ギヤ、さらにその外側の「リング」ギヤとで構成されています。真ん中の太陽ギヤを回転させると、それが遊星ギヤを経由してリングギヤに伝わり、その間の歯車の比率の違いによって回転の比率がかわります。上記のペグの場合は2社ともに4対1のギヤ比です。したがって、ペグのつまみ部分をまるまる1回転させると弦を巻き取るシャフトは4分の1回転します。また、つまみをまわす力も4分の1ですみます。(実際にはギヤがスムーズにまわりますから、木製ペグをまわすよりもずっと簡単にまわります。)
さらに楽器用のペグとして有利なのは、ペグを押し込んでとめておかなくても逆回転をしないので、せっかくあわせていたのにペグがゆるんで巻き戻ってしまったなどということがありません
planetarygearset.jpg
この遊星歯車は、実は我々の日常生活の中にもいろいろなところで使われています。最近はあまり見ませんが、ハンドルをぐるぐるまわす鉛筆削り。日々にお世話になる車の変速機。充電式ドライバーのモーターとドリルとをつなぐ機構などにも使われています。歯車にかかる力が複数個所に分散されるので、耐久性に富み、長期間安定して作動しやすく、動きもスムーズになります

楽器は在庫があれば全て試奏可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

コメント(1)

私もアメリカから輸入して、かみさんのヴァイオリン、ヴィラ、自分のヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオローネに装着しています。
見た目は普通のままなのに、とても高性能です。
ただし取扱説明書が着いていなかったので、最初はとても戸惑いペグによってはうまく作動しませんでした。(今は全く問題ありません)
また、メーカーのトラブル時対応も良く、安心して使えます。

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