ハイテクのヴィオラ・ダ・ガンバ(?!)を試作しました。調弦がとても楽になります
ガット弦やガンバをお買い上げいただいたお客様が、コンサートのときなどにペグ(糸巻)と悪戦苦闘しているご様子を拝見することもあり、なんとか楽にならないものかと思っていました。10年ほど前に前職でおつきあいのあったアメリカの弦楽器商の方が、クラシックなヴァイオリン族のためのマシンペグ(ギヤを内蔵したペグ)を開発中だと聞き、それをガンバ族にも応用できないかと話をしていました。その後アメリカのその楽器商では景気の影響もあって担当者がかわってしまい、残念なことにコンタクトが中断していました
一方で旧知のドイツのウィットナー社が類似のペグを作っており、ウィットナー社長と私の取引先IESTA社とのご厚意で、7弦ガンバにこのウィットナーペグを仕込んだものを試作することができました(ウィットナーのペグは残念ながら取引契約の関係で弊社では扱えません)
アメリカのメーカーの方もやっとコンタクトがとれましたので、少しずつ試作と取扱を始めようと思っています
この2社のペグは、外見は従来のペグとほとんど同じで中にギヤが仕込んであるものです
大きな違いは、ギヤが組み込まれている場所で、ウィットナーのものはつまみの部分に、アメリカのものはシャフトの部分に組み込まれていますが、機能的にはほとんど同じです
実際に操作してみるとうそのように楽に回ります。もちろん楽器制作/調整される方は、こんなものを使わなくても十分まわしやすいペグをセットする、ということだとは思いますが、実際に使ってみるとギヤ比(4対1)があることもあって、チューニングの微調整もとても楽です
今回試作したガンバは7弦、弦長65cm、胴圧14cmです。とても扱い易く弾きやすいのではないかと思います。どうぞ試奏にお越しください
*遊星歯車機構(Planetary Gear)とは
図にあるように、中心軸になる緑色の「太陽」ギヤと、その周りをまわる黄色の「遊星」ギヤ、さらにその外側の「リング」ギヤとで構成されています。真ん中の太陽ギヤを回転させると、それが遊星ギヤを経由してリングギヤに伝わり、その間の歯車の比率の違いによって回転の比率がかわります。上記のペグの場合は2社ともに4対1のギヤ比です。したがって、ペグのつまみ部分をまるまる1回転させると弦を巻き取るシャフトは4分の1回転します。また、つまみをまわす力も4分の1ですみます。(実際にはギヤがスムーズにまわりますから、木製ペグをまわすよりもずっと簡単にまわります。)
さらに楽器用のペグとして有利なのは、ペグを押し込んでとめておかなくても逆回転をしないので、せっかくあわせていたのにペグがゆるんで巻き戻ってしまったなどということがありません
この遊星歯車は、実は我々の日常生活の中にもいろいろなところで使われています。最近はあまり見ませんが、ハンドルをぐるぐるまわす鉛筆削り。日々にお世話になる車の変速機。充電式ドライバーのモーターとドリルとをつなぐ機構などにも使われています。歯車にかかる力が複数個所に分散されるので、耐久性に富み、長期間安定して作動しやすく、動きもスムーズになります
既報、イギリスのモーレイ社のクラヴィコードに付属しているマニュアルを和訳しました
なかなかよくできたマニュアルで、クラヴィコードや古典音律にご興味のある皆様には面白い資料だと思うので、モーレイ社の許可を得て配布いたします
調律作業用の各種チャートを含めてA4で22頁になります
この頁、一番下のリンクからお読みください
<概要>
1.ロバート・モーレイ社のクラヴィコード取り扱い説明
2.鍵盤楽器の古典調律法入門とチャート
ロンドンの大学で教えているデヴィッド・ロー氏による古楽器調律入門です。はじめての方でも音叉一本で調律できるように実践的な解説になっています。
下記4種の音律のためのジョン・スパイス氏によるチャートが付随しています。
電子チューナー(古典調律を内蔵していない、安価なギター用チューナーなど)を使って下記の古典調律をおこなうためのデヴィッド・ロー氏によるチャートも付随しています。
Morleyクラヴィコード調律とメンテナンスマニュアル.pdf
はい、クラヴィコード3台なのです(^_^;)
成田空港から、木箱に厳重に梱包された三つの箱を引き取ってきました
ロンドンからはるばる。最後に成田で、あわや入国拒否かという騒ぎはありましたが、身元証明されて無事に入国。(材質の「マホガニー」はワシントン条約で決められた絶滅危惧種に該当するおそれがあり、学術名できちんと該当しないことを申告できないと通関できないところだったのです。あせりましたが、さすがにメーカーにきちんと製作時の記録が残っており即答。事なきを得ました)
メーカーは、John Morley。1881年からロンドンで楽器を作り続けているという歴史のある会社です。取引のやりとりをしてくれているのもモーレーさんたち(お嬢さん?奥さん?おばあさん?メールだとわからないのですが、妙齢の美女ということにしておきましょう(笑))今回の3台の楽器は1963年製、1967年製、1971年製と古いものばかりなのですが、どれもしっかりとリフレッシュされていました。さすがメーカーですね
付属品も音叉や調律のやり方のマニュアル(英文)までついています。(翻訳が必要かなぁ(^_^;)
#615 FACIT 1963 ウォールナットケース、 C-D 51鍵 4オクターヴ
#1515 FACIT 1967 マホガニーケース、 G-G 61鍵 5オクターヴ 売約済
#2053 FACIT 1971 マホガニーケース、 G-G 61鍵 5オクターヴ 売約済
3台とも燐青銅の弦を使っていますので甘く柔らかい音です
#1515と#2053の二台はすぐにお輿いれの予定。最初のウォールナットのモデル、どうぞ試奏にお越しください