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ミケーレ・ベヌッツィ クラビコード講習会(2014/06)ご報告

2014/07/10

MicheleWorkshop201406-6.png6/22〜29にかけて行なわれました、ミケーレ・ベヌッツィさんによる講習会の詳細をご報告します。
受講くださった皆様、お疲れ様でございました!

今回は定番の
・クラビコード初級クラス
・クラビコード・マスタークラス
に加え、
・インベンションを学ぶ、インベンション・ワークショップ
・C.Ph.E.バッハ生誕300周年を記念して、彼の重要な音楽概念「アフェッティ」を学ぶレクチャーコンサート
というラインナップで、とても中身の濃い講習会となりました。


クラビコード初級

MicheleWorkshop201406-4.png 初級コースでは主に、腕の使い方や基本的な音の出し方を学びます。
ミケーレさんのお手本に従い、実際に鍵盤で音を出してみます。
最初は一音ずつ聞きながら、それからレガートの出し方や、ピアニッシモ、ディミヌエンド、反対にクレッシェンド・・・
クラビコードならではの演奏法、ビブラートのかけ方なども教わります。
大切なことは「リラックスして、かつ注意深く、コントロールする」こと。
簡単なようですが、実際にやってみると難しい!
(実はこの初級コース、自分も受講したのですが、必死のあまり硬直して何度もミケーレさんに "relax~!” と笑われてしまいました^^;)
実際、クラビコードで美しい音を出すためには相当なコントロールが必要で、「ピアノは簡単すぎる」とミケーレさんは仰っていました。
逆に、クラビコードで上手くコントロールが出来るようになれば、ピアノでも、チェンバロでも、オルガンでも怖いものなしなのだそうです。
ミケーレさんもこの初級講座で教えてくださる内容を毎日練習するそうです。


クラビコード・マスタークラス

MicheleWorkshop201406-11.png こちらのコースでは各人が持ち曲を弾き、ミケーレさんにフレーズの作り方、音楽的な解釈などを学びます。
今回はバッハやスカルラッティ、フレスコバルディを選んだ方もいらっしゃいました。
曲によっては「スピネットのほうが良いのでは?」と、楽器を変更するラッキーな場面も。
「譜面をただ読むのではなく、どう音楽に表現するのか、ほんの少しの違いだけれどそれが音楽としての大きな違いになっていく」と、自分で音楽を作っていくことの大切さを述べられていました。
皆さん、短い時間で音楽がどんどん変化していきとても印象的でした。


インベンション・ワークショップ

MicheleWorkshop201406-2.png こちらもマスタークラスと雰囲気が似ており、フレーズの取り方や音楽の発展のさせ方など、かなり実践的な内容が中心でした。
一曲の中でも、フレーズもしくはパート毎に、どうやって変化をつけるか・・・
比喩や擬音を駆使して説明されたり(「ねこのしっぽ」など)、ミケーレさんが左手パートを一緒に弾く場面もありました。
アクセントやトリルについての質疑もありました。
そして、対象がインベンションということで、バッハがインベンションを作曲した意図や、good taste(訳すと「良い趣味」でしょうか)に関する考察もありました。
受講生の方の音楽がどんどん豊かに変化するさまがやはり興味深く、「インベンションがこんなに面白かったとは・・・!」と感想を述べてらっしゃる姿が印象的でした。
※楽譜について、ミケーレさんは、できれば原典版を使うように、校訂譜は避けるようにと仰っていました。ほかの人ではなく作曲者自身が書いたことを頼りに、自分の音楽を作っていくのだそうです。


レクチャーコンサート

MicheleWorkshop201406-8.png 今回のラインナップの中でも特に骨太な講座でした。
テーマは「アフェッティ」を学ぶこと。
ざっくりまとめてしまうと、アフェッティとは「作曲者が作曲の際に音楽に込める感情表現の総体」なのだそうですが、
概念自体が複雑な上、英語を理解するという言語の壁もあり^^;
絵画における表現手法やパスタの味付けなど、様々な視点から噛み砕いていきました。
またアフェッティの概念が生まれたルネサンスの時代にさかのぼってみたり、後の時代への影響力にも触れていました。

MicheleWorkshop201406-12.png その後、アフェッティを理解する好材料としてC.Ph.バッハのソナタ(trio)をYouTubeで聴きながら、「ここが〇〇のアフェッティになっているんですよ」と、一つ一つ解説していただき(C.Ph.E.バッハ自身が書いているのだそうです)、
最後にミケーレさんに幻想曲と別のソナタをそれぞれチェンバロ、クラビコードで演奏していただいて、締めくくり。
「アフェットの言葉を理解して、それをどうやって音楽に込めるか、それが大切なことです」と、仰っていました。
講座後には、ギリシャの修辞法の話も出て盛り上がっていました。
一時間枠とは思えない濃厚な講座で、個人的にもとてもおもしろかったです。

※YouTubeで聴いた曲は以下と思われます。
Trio Sonata in C minor, H.579  (Bach, Carl Philipp Emanuel)
一楽章 : http://www.youtube.com/watch?v=8ySc6t_y1kc
二楽章 : http://www.youtube.com/watch?v=tV1WQB9EAfA
三楽章 : http://www.youtube.com/watch?v=dUjHjl6aQDM
楽譜(国際的な楽譜無料ダウンロードサイトのIMSLP。ページ左の矢印をクリックし、同意事項に同意すると中身を見られます) : http://imslp.org/wiki/Trio_Sonata_in_C_minor,_H.579_(Bach,_Carl_Philipp_Emanuel)


盛りだくさんの報告となってしまいましたが、ここに書ききれない内容もたくさんあり、本当に濃い!講習会だったと思います。
また全体を通して、バロック音楽の喜怒哀楽の豊かさや、たっぷりとした息遣いを感じ、そばで聞いているだけでも豊かな気持ちになりました。

また11月に開催予定だそうなので、よろしければぜひ足をお運び下さい^^
聴講だけでもとても面白いと思います♪

ありがとうございました。

写・文責 伊藤


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楽器は在庫があれば全て試奏可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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