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K子のクラビコード奮闘記 その2 〜基本のメンテナンス・調律を学ぶ

2014/04/18

その1 〜クラビコードを買ってしまった はこちら


クラビコードは自分で調律等のメンテナンスをしてやる必要があり、最低限自分でなんとかなるよう、半日ほどのレクチャーを受けました。


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iPhoneアプリ「CLEARTUNE」を使った古典調律

調律経験ゼロの私(大丈夫か・・・)ですが、こちらの「CLEARTUNE(クリアチューン)」を教えていただきました。
右下の「i」マークから設定画面に遷移でき、さらに「調律」欄をタップしてやると様々な調律方法を選べます。
私は割とメジャーと言われる「Kirnberger(キルンベルガー) Ⅲ」を選択。
あとは、調律したい鍵盤を押すと針が振れ、本来の音よりどの程度ずれているかがわかります。わかりやすい!
こちらでCLEARTUNEを詳しく解説してくださっています


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ずれていたら、T字型のチューニングピンをペグに差し込み、すこ~しずつ左右どちらかに回して調律します。

本来、調律の際は基準音(中央のドなど)や中央のオクターブのみ音叉で合わせ、それ以外は耳で聴きながら合わせるそうですが、まだ耳のできていない人(=私)向けに、音を目に見える形にしてくれたのがこのアプリというわけです。
それでも、高音部や低音部はCLEARTUNEが音を上手く拾えないことがあり、アプリを音叉モードにして、耳で音を聴きながらの調律もありました。


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ところで、クラビコードはひとつの鍵盤に対して2本の弦が張られています。
なので、一つの弦を調律する際はもう一方の弦に、付属のゴム製くさびを挟んでおきます(使いにくければ木片にフェルトや革を貼ったもの、紙を折ったもの等でもOK、写真は野村代表お手製の木片×革製のくさびです)。

音を合わせたらくさびを外し、鍵盤を鳴らしながら、もう一方の弦も合わせます。


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もう一点、これは今回のフレッテッド型クラビコードの特徴ですが、隣り合う鍵盤で弦を共有している場合があります。
大抵は1つの鍵盤を合わせるともう一つの鍵盤も合っちゃいますが、合わない場合は鍵盤を外し(!)タンジェントという金属片部分をペンチで挟んでほんの少し調整します。

(弦長が長いほど音が低くなる、短いほど高くなるので、該当鍵盤の音が高ければ左に、低ければ右のブリッジ側に傾けて調整します。)


基本的にこんな感じで、最初はかなり戸惑いましたが、
慣れてくると結構楽しい!
雑音やうねりがなくなり、音がフッと共鳴した瞬間が快感です♪


楽器のメンテナンス

クラビコード自体、木でできているだけあって、置かれる環境や天候によって調律がずれたり楽器自体に歪みが出てくるそうです。
(調律も最初の2週間程は、できれば毎日やってあげると良いそうです。)
特に、鍵盤が上がりづらくなったときはこれまた鍵盤を外して、
・鍵盤の側面を紙やすりで滑らかにする
・鍵盤裏の穴を細めのドライバー等で広げる
・鍵盤の先についているタン(半円形部分)を、濃い目の鉛筆の黒鉛等で滑りを良くする
などの対処をします。
(なんだか日曜大工っぽい・・・!)

その他にも、調律しても音が変なときは弦をたたくタンジェントがきちんとあたっているか、歪みはないか、リスティングクロス(赤いフェルトの帯)はどうか、などを見てあげます。


弦を切った時の対処法

最後に、弦を切った時の張り替え方を教えていただきました。
クラビコードは、普段は弦が切れることはほとんどないようですが、調律をするときにピンを間違え易いので違う弦のピンを巻いてしまって切ってしまうことがあるそうです。
そんな事態になるべくなってほしくないですが、2,3本切ると慣れてくるそうです^^;
購入時にスペア弦がついてくるので、どの弦がどの音/鍵盤に対応するかに気をつけて。
まずチューニングピンをペンチで抜いて切れた弦をはずすのですが、無造作に外すのではなく、左端のピンに止めてあるループになったところに新しい弦をつけて、新しい弦が前の弦と同じように赤いリスティングクロスの下をジグザグに通るようにゆっくりと引っ張ります。
また、チューニングピン(調律用のピン)についてる方も、ペグで巻き取るのに必要な部分以降は切りとってしまうのでどのぐらいの長さが必要か切れた弦の切れ端で見定めて新しい弦の長さをあわせます。
新しい弦の用意ができたら、さっき抜いたピンに開いている穴に弦の端を差し込んでゆっくりと、巻き取ってあげるそうです。
必要な長さまで巻き取ったら元の穴に差し込んでチューニングキーをかなずち代わりにして打ち込みます。チューニングキー「チューニングハンマー」と呼ばれることもあるのはこのせいでしょうか?
あとは実践あるのみです(苦笑)


KeikoAway_s.jpg

そんなこんなで、文字にすると沢山ですが、実際にやってみると意外とおもしろい!
自分でもなんとかなるかも!という実感でした。
また、一回やるだけでなく日常で実践を積み重ねることで身についてくるそうなので、それを信じて、
いざとなったらこちらにお電話しよう!と思い、持ち帰らせていただきました。


※背負っても持って帰られると聞き、「では背負って帰ります!!」
(左の写真は「ヌリカベ」「クラビコードに背負われている」「警察に声をかけられそう」と様々なコメントをいただいてしまいました・・・)


その3 〜クラビコードは本当に生き物 そして奮闘は続く につづく

楽器は在庫があれば全て試奏可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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